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現実的な正しい減量法

T.H [98年 2月 15日 (日) 01時 18分]

 52歳、女性。数年前から膝関節が痛く、先日整形外科で診てもらったところ変形性膝関節症と言われました。体重が71Kgあり、やせないとだめだといわれました。少ししか食べないのに太ってしまいます。関節が痛いので運動もできず、何か良い方法はないでしょうか。

[tomos]

関節の悪い方の減量は、けっこう大変です。

(1)
まず、関節の痛みがあり、運動でカロリーを消費するというのがなかなか難しい。

(2)
そして、たいてい中高年の方が多く、今まで習慣としてきた食生活を急に変えられないのです。

<減量法−序論−>

しかし、減量のために固い決意をしたとして、減量をシミュレーションしてみましょう。

(イ)
 まず、運動でカロリーを消費することを想定してみます。体重70Kgの人が、5Kmウォーキングしたとしますと
  70×5=約350カロリーの消費となります。
歩行のスピードに関係なく、
  体重(Kg)×歩行距離(Km)
が消費カロリーになります。(これで体脂肪が約35g減ります。)
 しかし、これだけ努力しても、このカロリーはショートケーキ約1個分です。労多くして、得る物はわずかです。
 これならショートケーキ1個を食べない方が簡単です。

(ロ)
 肥満の方は、たいてい「私は全然食べないのに太ります。」と弁解します。しかし、これは単なる言い逃れです。飢餓の国の人々の写真を時々見かけますが、彼らは皆やせています。食べないのに太る人はいません。
 肥満の人は消費カロリーに比べて、摂取カロリーがオーバーしています。摂取カロリーを減らすのが、減量のための最も合理的、経済的、現実的な方法です。

(ハ)
次に、食事の質から考えてみますと、
   糖質は 1g=約3カロリー
   脂質は 1g=約10カロリー
です。
 よく、太らないようにおかずだけ食べて、ご飯を残す人をみかけますが、トンカツやコロッケを食べて、ご飯を残すのは愚かなことです。残すべきはトンカツやコロッケの衣なのであって、ご飯ではありません。揚げ物の衣には油がしみこんでいて、たとえば油が10gしみこんでいたとすると、この油だけで約100カロリーもあります。これだけでご飯茶碗約半分に相当します


<正しい食事>

1.
 昔ながらの日本食は、ご飯、野菜、みそ汁、魚などですが、このような日本食はたいへんヘルシーです。カロリーが少なく(脂肪分が少なく)栄養のバランスがとれています。ただし、塩分をとりすぎになりがちです。
 tomos は、玄米・米・麦のミックスご飯に、納豆、低脂肪乳を主食にしています。昔流にいうと、麦ご飯に納豆、脱脂粉乳です。かなり質素です。あとは野菜、みそ汁、魚などです。
 ご飯など粒状のまま穀物を食べることを粒食、パンなどのように一度粉にして調理して食べることを粉食といいますが、粒食のほうが粉食より食べた後の血糖値の上昇が緩やかで、糖尿病になりにくいといわれています。玄米など、固い穀物の方が血糖値の上昇はより緩やかです。

 なお、仕事をしているといやが上にも、つきあいなどで月に数回はごちそうを食べてしまいますが、普段質素な食事をしていると、たまにごちそうを食べると、とてもおいしく感じられます。

 肥満の方の食事を見ていますと、脂肪分・糖質をとりすぎています。毎日こういった食事をしていると、こってりした物、甘い物を十分食べないと満腹感が得られないようになっています。
 長年続けてきた食生活を変えるのは大変です。しかし、日本人は少し前まではたいてい貧しく、食事も質素でした。今の中高年世代も、少しはその時の記憶があるはずです。動物性脂肪の少ない昔ながらの日本食を食べましょう。ただし、塩分のとりすぎに注意しましょう。(高血圧・脳卒中の予防のため)

2.
 よく見かける誤ったダイエット法の一つが、朝食を抜くなどの食事の回数を減らすことです。これは逆です。1日のカロリー量が同じだと仮定すると、食事回数を増やして食べる方が太りにくいのです。ボディビルをする人は体脂肪を付けないために、1日6食にしています。
 また朝食はエネルギーとして消費されるから、しっかり食べても大丈夫です。夕食は食べ過ぎると体に蓄えられるだけなので、少な目に低脂肪・高蛋白にしましょう。夕食は、刺身、冷や奴など酒の肴程度で十分です。

3.
 それから、早食いの人もカロリー過多になりがちです。これは、食事を始めて血糖値が上昇し満腹感が得られるまで約20分かかりますが、それまでは空腹感と本能のおもむくがままに、いくらでも食べてしまいがちだからです。
 食事はよくかんで、楽しくお話でもしながら、ゆっくり召し上がりましょう。

 1日に必要な摂取カロリーは、年齢・性・身長・生活様式などで変わります。中高年のあまり運動しない女性の場合は、だいたい1600〜1800カロリーもとれば十分でしょう。これはポテトチップス(油のためカロリーが多い)2〜3袋分です。


<結論>

現実的な正しい減量法

食事
 1.昔ながらの日本食を食べる
 2.3食をしっかり食べる(特に朝食)
 3.よくかんでゆっくり食べる

運動
 歩ける人は、2日に1回は、約20分ほど(早歩きで)散歩しましょう。健康な人は安易にエレベーターを使わずに、階段を利用しましょう。これは省エネにもなります。また、面倒がらずに体を動かしましょう。「おい、お茶」、「お箸」はだめです。それぐらいは自分でしましょう。これなら実現可能な運動です。

 人はどうしても「ごちそう」、「楽な生き方」に流されてしまいます。「より豊かに、より便利に」、これが人類の近代文明、経済成長をもたらした源です。ごちそうを食べながら、テレビのリモコンを操作している姿は、その典型です。
 しかし豊かになって、ごちそうを食べ、自動車に乗るのが人類の幸福なのでしょうか。結果的に生活習慣病になり悩んでいる人を多く経験します。
 人の本来あるべき姿、それを考えることが減量の第一歩です。そして、これは地球温暖化防止にもつながる考え方ではないでしょうか。


(参考) 身長から計算した理想体重

    身長(m)×身長(m)×22Kg

     たとえば身長1.55mの人は
    1.55×1.55×22=約53Kg です。

(参考) 食物のカロリー量の計算ができるホームページ

    グリコ・夢のレストラン-メニュー

(Feb/15/1998)


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tomos<since Jan/17/1998>last updated Jun/6/2001