アキレス腱縫合術(腰椎麻酔)

1(アキレス腱断裂)
アキレス腱はふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の腱で、足首の後方にあります。若年者では、
腱に柔軟性がありますが、中高年になると少しずつ硬くもろくなり、スポーツ等で不意に
ダッシュしたりジャンプしたりすると腱に無理な力がかかり、断裂することがあります。
スポーツをする前には、十分なウォームアップ、ストレッチングをすると、アキレス腱断
裂等のスポーツ傷害を予防する効果があります。
断裂した腱はギプス固定で治す方法もありますが、長期間の固定を要します。もう一つの
選択として腱を縫合して治す方法があります。手術的治療のメリットは、断裂した腱を確
実に修復できることと、それによりギプス固定期間を短縮し歩行開始も早くできるため、
下肢の筋肉・骨の衰えを少なくできることです。

2(麻酔)
手術は腰椎麻酔で行います。まれに麻酔によりショック症状等が生じる場合があります。
その場合は直ちにその治療をします。また術後一時的に頭痛等が生じる場合があります。
なお手術中は、出血しないように太ももの付け根をターニケットという器具で圧迫してい
ます。そのため、手術中その部位が多少痛く感じる場合があります。

3(手術)
今回の手術ではアキレス腱部に約6〜10cmの切開を加え、断裂したアキレス腱を確認し
て縫合します。手術後はギプスをまきます。ギプスは約2週間で除去する予定です。ギプ
ス固定後はブーツ型装具を装着して、少しずつ体重をかけて歩いていただきます。そのブ
ーツ型装具もその約1ヶ月後にはずします。

4(リハビリ)
人の循環(血のめぐり)、呼吸、筋肉、骨、関節などは不必要に安静にしているとその機
能が低下し、回復に相当な期間と努力を要することがあります。そのため、患者さんの状
態がよければ、手術後できるだけ早くリハビリ等で機能回復に努めていただきます。手術
翌日から松葉杖歩行が可能です。日常生活にほぼ支障がなくなるのは手術後約2ヶ月、ス
ポーツに完全に復帰できるのは約6ヶ月後の予定です。

5(感染)
まれに手術部に細菌が感染し、化膿して治療が困難になることがあります。
その予防のために、抗生剤を点滴・内服薬等で投与させていただきます。もし感染を生じ
た場合は、直ちにその治療を開始します。

6(予後・後遺障害等)
アキレス腱が断裂した足関節は、治療後に多少の関節の可動域(動き)減少と筋力低下が
残ります。また断裂後約6ヶ月間は、アキレス腱に無理がかかると再び断裂することがあ
ります。その場合再手術を要することがあります。
その他に、目立つ傷跡、種々の痛み等がしばらく続く場合があります。