化膿性関節炎に対する掻爬・洗浄・ドレナージ(腰椎麻酔)

1(化膿性関節炎)
 関節に細菌が感染し、化膿性炎症のため骨・関節が破壊され、発熱、関節の痛み、はれ
歩行障害などが生じています。このような化膿性関節炎を生じた場合、抗生剤の全身投与
だけでは炎症を沈静化させることが困難な場合が多く、局所に対する手術・処置(掻爬・
洗浄・ドレナージ)を必要とすることがあります。

2(麻酔)
 手術は腰椎麻酔で行います。まれに、麻酔によりショック症状等が生じる場合がありま
す。その場合は直ちにその治療をします。また術後一時的に頭痛等が生じる場合がありま
す。
 なお手術中は、出血しないように太ももの付け根をターニケットという器具で圧迫する
ことがあります。そのため、手術中その部位が多少痛く感じる場合があります。

3(手術)
 手術では、まず関節に切開を加えて内部に貯まっている膿を排出し、炎症のため傷んで
しまっている組織(骨を含む)を掻爬(そうは、掻いてきれいにすること)します。内部
を十分に洗浄し、しばらく関節の内部に膿がたまらないように管を留置しておきます。ま
た、状態によっては、関節内部を持続的に洗浄する管を留置したりする場合があります。
 なお、手術中に採取した膿は細菌検査に提出し、菌の同定と感受性のある抗生剤の検索
を行います。また、摘出した組織は病理組織検査に提出します。

4(ギプス・松葉杖)
 手術部の安静のため、手術後しばらく関節をギプスで固定します。また、歩行にはしば
らく松葉杖や車椅子必要です。

5(リハビリ)
 炎症が沈静化する兆しがみえれば、できるだけ早くリハビリを開始します。

6(合併症)
 糖尿病などの内科の合併症を持つ場合、健康な人に比べ化膿性炎症が治りにくくなりま
す。また、手術中・手術後に不測の事態が生じることがあります。その場合は内科医と連
係し万全の処置をいたします。

7(効果・予後・後遺症)
 今回の手術・処置(局所療法)に加えて、抗生剤の全身投与を併用し、化膿性炎症の沈
静化をはかります。しかし、細菌の種類によっては、抗生剤が効きにくいことがあり、そ
の場合、治療が長期間にわたることがあります。
 関節炎が重篤な場合、関節にかなりのダメージを与えてしまっている場合があり、変形
・痛み・拘縮などの関節の障害が残ることがあります。